ペリオウェイブ

最先端歯周病治療 PDT(photo dynamic therapy)光線力学療法 ペリオウェイブ

ペリオウェイブとはPDT(photo dynamic therapy(光線力学療法))を用い歯周病の原因となる細菌を破壊する新たな療法です。このPDTは様々な医療分野ですでに利用されている医療的療法なので安心して治療を受けていただくことが可能です。

PDT療法について

PTD療法とはphoto dynamic therapyの略、日本語でいうところの光線力学的療法です。この療法は患部にレーザーを当てて細菌を破壊する療法です。歯科ではまだ新しくなじみのない治療法かもしれませんが、医科の分野では20年以上も前から癌・皮膚・眼科などで幅広く使用されていた医学的療法です。

PDT療法の仕組み

レーザーといっても高熱で痛みを伴うレーザーとは異なります。光を吸収すると化学反応をを起こし活性酸素を大量に発生させます。その光となるレーザーを使う治療法なのです。つまり、細菌、腫瘍などに光感受性物質を含ませ、そこにレーザーを照射し、腫瘍・細菌などのみを治療することが可能になるといった方法です。

PDTの医学的利用範囲

● 癌治療における利用

癌治療の分野では主に肺癌などの主に早期の中心型肺癌の治療に使われます。 日本ではフォトフリン、レザフィリンといった癌の腫瘍組織に取り込まれやすい腫瘍親和性光感受性物質が光感受性物質として使われます。その後、気管支鏡という細い内視鏡を気管支に投入し、その気管支鏡を介してレーザーを癌の腫瘍の部位に照射するという治療が行われます。

このため、癌の治療においてのPDTの利用はレーザーの照射ができる範囲の早期の小さな腫瘍、また内視鏡が通せる範囲の癌の治療のみとなっていますが、体内器官を切断せずに、早期の癌であれば完治できる治療法として大きなメリットを持った癌治療といわれています。

● 皮膚科における利用

癌の治療のための研究の中アミノレプリン酸という光感受性物質が皮膚の皮脂腺に取り込まれやすいことが発見されたことがきっかけで、皮膚科ではニキビの治療などにこのPDTが使われるようになりました。 アミノレプリン酸は皮脂腺に取り込まれポルフィリンという物質を作り出します。このポルフェリンにレーザーの光を当てると皮脂分泌機能が抑制されえるようになります。そして、皮脂の分泌が減ることによってニキビ菌などの細菌を減らすことによって皮膚のトラブルを治療する方法が皮膚科でのPDTの利用です。

● 眼科における利用

眼科では加齢黄斑変性症という加齢などの原因により黄斑という距離・立体・色・大きさなどの視力をつかさどる部分の機能が新生血管という異常血管の発症による出血やむくみにより低下する症状の治療のために使用されます。 この症状にはベルテポルフィン、ビスダインという光感受性物質を注射し、視力低下の原因となる新生血管を閉塞、縮小するといった治療法です。

● 歯科における利用 – ペリオウェイブ・システム

歯科では歯周病の治療としてペリオウェイブという手法が用いられます。


バイオジェル

ペリオウェイブの治療にはまずメチレンブルーを主成分としたバイオジェルを光感受性物質として使用します。この染色液はリポ多糖類とリピドというグラム陰性菌・陽性菌のなかにある成分と結合するもので、なかでも歯周病の原因となるグラム陰性菌にいち早く取り込まれるものです。

ペリオウェイブのレーザー

ペリオウェイブで用いられる非熱ダイオード・レーザーはメチレンブルーを主成分とするバイオジェルの周波数に反応します。

光感受性物質とレーザー光による化学反応により殺菌

レーザーの発した光は染色液の周りにある酸素分子を細菌の細胞壁に対して毒性のある遊離基に変換させます。この遊離基が細菌を破壊します。このような化学反応によって歯周病の原因となる細菌が破壊され、歯周病の治療が完了するのです。



ペリオウェイブとは

旧来の治療

旧来歯周病には口腔衛生指導、歯周強化、スケーリング、ルート・プレイニング、むし歯などの局部的刺激因子治療、それに付随した抗生物質の処方、さらにはひどくなると外科的治療が行われてきました。

これらはれっきとした歯周病への効果があると認められた治療ですが、デメリットもありました。まずは、多くの治療では歯周病の原因となる細菌を完全に排除することは難しかったということです。そして、抗生物質の繰り返しの処方は薬に対する耐性を生み抗生物質などの有効性が減少してしまうことです。

ペリオウェイブの特徴

画像:Wikipedia日本語版「グラム陰性菌」より
ペリオウェイブは歯周病の原因となるグラム陰性菌をレーザーによって破壊することによって歯周病を治療します。この治療の特徴はまた薬品などを使わないものなので副作用はなく、歯一本につき約60秒の治療という短時間での治療が可能です。また、インプラントのメンテナンスや矯正中の歯周病治療、歯周手術中、再生治療前、器具操作が困難な治療の際にピッタリな療法などペリオウェイブの特徴は多くあります。

抗生物質を用いない治療

最大の特徴としては抗生物質を用いない治療法というところです。旧来、歯周病の治療には抗生物質を用いたものが多くありましたが、抗生物質を使った治療は繰り返すうちに抗生物質に対する抗体ができてしまい薬に対する有効性が減少してしまうという問題がありました。しかし、ペリオウェイブの治療では抗生物質を用いないためこの問題点が解決されることになります。

痛みを伴わない治療

また、もう一つの大きな特徴としては痛みを感じずに治療ができるということです。レーザー治療と聞くと高温で痛みを伴うものを想像される方も多いかと思いますが。ペリオウェイブのレーザーは低温で、歯周病の原因となる細菌と歯周病による組織破壊の原因となる毒素以外にはダメージを与えない治療法なので痛みは感じないものとなっています。

ペリオウェイブの効果

ペリオウェイブの効果は、年齢、喫煙の有無、患者さまの健康状態により人それぞれ異なるものとなっておりますが、出血、歯茎などの組織の状態、痛みへの効果は治療後の早いうちに見られます。炎症への効果は治療後1~2週間、歯茎などの奥の組織への効果は数か月後に見られます。また、これらの効果は最初の治療後3~6週間後に再度治療を行うことによって高められるものであり、患者さまによっては2度目の治療をお勧めする場合もございます。

旧来の治療との併用

ペリオウェイブは旧来から行われているSRP(スケーリング、ルート・プレイニング)などの治療法に対抗するものではなく併用することによってより効果を発揮する治療法です。 逆にこれらの治療が不十分で完璧に歯石を取り除くことができなければ、最先端と言われるペリオウェイブでも、その効果は期待することができません。

ペリオウェイブの安全性

ペリオウェイブで用いられるPDT(光線力学的療法)は癌治療、眼科治療などで保険適用治療として正式に用いられている治療法なので安全性は保障された治療法となっています。 患者さまの中には光感受性物質の影響により治療後しばらく患部の近くに青みが残るという報告はありますが、これは身体に害のあるものではなくしばらくすれば消えるものです。 また治療後の制約などもとくになく、再発を防ぐため歯のケアをしっかり行っていただくこと以外は普段通りに生活を送っていただけます。



治療の流れ

ペリオウェイブは短時間の治療で歯周pocketにある細菌を撲滅する痛みのない治療方です。ここでは、実際の治療の流れをご説明致します。

Step1

歯周ポケットには細菌が存在する状態です。
SRP(スケーリング・ルートプレーニング)歯周ポケット内部に入り込んだ歯石を除去します。

Step2

光感受性物質としてメチレンブルーを主成分としたバイオジェルといわれる染色液を歯周ポケットに注入します。
このバイオジェルは例え飲み込んでも人体に害はありません。

Step3

無熱ダイオードレーザーで、患部を60秒ほど照射し、活性酸素を発生させて細菌を殺菌します。

Step4

死滅した細菌を丁寧に洗浄します。

レーザーの照射によりバイオジェルが化学反応を起こし染色液の周りにある酸素分子を細菌の細胞壁に対して毒性のある遊離基に変換させます。この遊離基が細菌を破壊します。 このような化学反応により、歯周病の原因となる病原菌は撲滅し、毒性物質と炎症性分子は不活性化することになります。



Q & A

ペリオウェイブとは?

歯周ポケット内にバイオジェルと呼ばれる染色液で歯周病菌等を染め、670ナノメートルの波長レーザーを照射します。光を吸収すると化学反応が起こり、活性酸素を大量に発生させ、歯周病菌・むし歯菌・ヘルペスウィルス等を死滅させ、健康な歯周組織を回復させる最新の歯周病殺菌システムです。医科では癌治療(PDT治療)として、積極的に取り入れられています。

メリットは?

抗生物質を長期間使用すると耐性菌が生産され、歯周病菌に効かなくなりますが抗生物質を全く使わないので、何回でも治療が可能です。副作用、痛み、腫れが全くなく3回の治療で歯周病菌がほぼ消滅することです。

デメリットは?

歯ぐきが引き締まってくるため、被せ物と歯ぐきの段差が目立つことがあります。うがい薬に含まれるクロルヘキシジンアレルギーのある方、紫外線等の光に対して敏感な方は適応外となります。